ベランダ越しに花束を



ある薄暗い雨の日のことだった。


雨だから洗濯は干せないな、と思いながら、今日も光琉と会うためベランダに出た。

でも、光琉の姿はなかった。


胸が苦しくなった。


久しぶりに、光琉に会えない日。


一気に気持ちが沈んだ。

ゴロゴロっと、雲が泣いたような音がした。

まるで私の心境のように。私はしばらく、いつも光琉が頬杖をついている場所を見つめた。

もしかしたら、出てくるかもしれないという、少しの希望をもって。