ベランダ越しに花束を


「中に入ったら、舞花が1人になるだろ」

驚きの言葉に、私は目をパチクリ。
今他人から知り合いになった人にこんなこと言われるなんて。

少なくとも私は、ほぼ他人みたいな人にそんな声掛けなんてしない。

しばらくして、私は言った。

「は?今知り合ったばっかじゃん」

「てことは、俺らは他人じゃないってことだ」

しまった、口が滑った。
光琉がニヒッとイタズラっぽく笑う。
その途端、なんだかおかしく思えてきて、つられて私も笑ってしまった。
光琉も声を上げて笑う。

こんなに笑えたのはいつぶりだろうか。

「はぁ、眠くなってきた。中入ろっかな」

と私は言う。

「じゃあ、舞花が入ったら俺も入る」

「何それ」

私はそう言い、くすりと笑った。

「分かった。おやすみ」

「おやすみ」