ベランダ越しに花束を


「どうした?」

なにか察したのか、後ろから光琉の心配そうな声が聞こえてくる。

でもその声は、スマホが振動する音が耳に響くせいでかき消された。

電話の相手は、中田日和だ。

息が荒れ、昔のあの頃を、鮮明に思い出した。

クラス皆の笑い声。女子たちがくすくす笑っている顔、睨んでくる顔。そして、日和の声。

『はぁ?何嘘ついてんだよ!犯罪娘!』

アイツの声が、頭の中で波打つように聞こえてくる。

最近は電話が来ていなかったから、もう済んだと思っていたのに、まだ付きまとわってくるなんて。

「舞花?」

また光琉の声が後ろから聞こえてくる。

でも私は光琉に返事が出来ず、そこで座ったまま。