ベランダ越しに花束を


でも、君が止めた。
君が話しかけた。
死の覚悟を決めたのに、君が鈍らした。

「どうなんだよ」

光琉はちらりとも動かない瞳を私にぶつける。
視線を逸らしたい気持ちでいっぱいだけど、
磁石みたいに離れなくて、その目を見ているしかなかった。

「…なんでもいいじゃん」

頑張って押し出した声は、惨めにも震えていた。
そもそもなんで会ったばっかの人に言わなきゃいけないの?
はぁ、と光琉はため息をついて言った。

「そんなに言えないことならいいけどよ」