ベランダ越しに花束を

「何の花?」

光琉はにやにやして言った。

「それは咲いてからのお楽しみ」

「ケチ」

私たちはくすりと笑った。

光琉は植木鉢を見つめながら、優しく語った。

「生きる理由、分からないって言ってただろ?」

私はぎこちなく、こくりと頷く。

光琉は続ける。

「だから、その理由を、俺が作った。毎日水やりすれば花は生きてるし、舞花も生きてることになる。いい考えだろ」