ベランダ越しに花束を


このとき思った。

光琉と一緒に来て良かった、と。

そうじゃなければ、きっとスーパーに行かずに家に帰っていただろう。

「…ありがとう」

私は安堵の笑みを見せた。
光琉も優しく笑ってくれた。

すると光琉は、近くに立っている木に目をやった。

花びらの吹雪の中にある、桜だ。

「桜、綺麗だな」

「うん」

私はそう言って光琉の顔を見る。

光琉はまだ立ち止まって、桜を見ていた。

その顔が、どこか寂しいような気がした。