ベランダ越しに花束を


すると、奥の方から懐かしい服が出てきた。
畳まれた服を広げ、しばらく見つめた。

昔、まだ私がいじめられてなかったときに、美沙とおそろいで買った服。

これならダボッとしているし、私に合っている。
これに、黒の長ズボンで合わせよう。

髪の毛もクシでとき、ベランダに出た。

「ごめん、着替えてた」

光琉は私を見て、何故か凝視した。

「光琉?」

私は光琉の顔を覗き込まながら聞いた。

「あ、いや、なんでも」

光琉は慌てたようにして、私から視線を外した。

しばらく沈黙が続いた。
が、光琉が「あっ」と何かを思い出したようにして言った。