ベランダ越しに花束を



私は

「ううん、付いてないよ。ごめん、ぼーっとしてた」

と誤魔化した。

でもまたしばらく見とれていると、「ん?」と光琉がこちらを見た。

「どうした」

「いや、別に」

私は彼の言葉で我に帰り、洗濯を欲し始めた。

その様子を、光琉はじっと見ていた。

そのことに、なんだか落ち着かなくて、「何見てんの?」とぶっきらぼうに尋ねてしまった。

すると、光琉は笑いながら言った。

「いや別に?…何、照れてんの?」

「はっ?何言ってんの?」