ベランダ越しに花束を

「めっちゃ綺麗な名前だなって」

「…え」

驚きのあまり、変な声が出てしまった。
私の名前が、綺麗?光琉の方が断然綺麗でしょ。

「何言ってんの。光琉の方が綺麗な名前じゃん」

私はポロリと呟いた。

「ふーん?」

光琉はそう言っただけだった。
しばらく沈黙が続き、思いきって私から話しかける。

「なんでこんな時間にベランダに出てるの?」

今は、夜の9時半。
こんな時間にベランダに出ているのはおかしいだろう。
そんなことを思っていると、光琉がきょとんとした顔で言った。