ベランダ越しに花束を


ベランダで死を覚悟していたとき、光琉が止め、私は急に泣いてしまった。

多分。いや絶対。私は、私を止めてくれる人を待っていたのだ。

だから、泣いてしまった。

「ごめん、なんか」

光琉が申し訳なさそうに言った。
私は首をブンブン横に振る。

「違うよ。光琉のおかげで、今日も生きてるんだよ」

光琉が昨日止めてくれなかったら、私は今頃あの世で後悔している。

「そうなんだ。ならよかった」

光琉はそう言い、優しく笑った。

私も笑い返し、空を見上げて言った。