ベランダ越しに花束を

しばらくして、電話が鳴り終わった。

でも、またすぐに電話が鳴り出した。

それが鳴り終わり、そして鳴り出し、鳴り終わりが続いた。

私は手で耳を塞ぎ込み、部屋の片隅で、電話が鳴り終わるのをひたすら待った。

完全に鳴り終わったのは、1時間も経った時だった。

スっと肩から力が抜け、震えていたのを自覚した。

ずっと頭で電話の音が響いている。

しばらくそこから動けなかった。

あれから、何時間も経った時、おばあちゃんが帰ってきた。

ガチャっとドアが開く音で、私は我を取り戻した。

「あれ、まいちゃん?帰ってきてる?」

玄関の方から、おばあちゃんの声がする。