ベランダ越しに花束を

「言いにくいんですが、舞花さんにはどうしても伝えておかないと思いまして」

私はこくんと頷き、次の言葉を待った。

その時間が、ものすごく長く感じられた。

胸騒ぎがする。

私は次に言う言葉何となくわかる気がして、身構えた。

光琉のお母さんは口を開く。

「光琉は、亡くなったの」

お母さんは、瞳の光が消えたような、虚ろな目をしていた。

身構えたはずなのに、苦しかった。

やはり、この世から去ってしまったのだ。

実感がなかった。

どこかで生きていることを願っていた。

今までのことが全部夢で、光琉は病気じゃなくて、毎日学校に行ってて…

そんなこと、あるはずもないのに。

「光琉、よく舞花さんのこと話してくれたんです。光琉と仲良くしてくれてありがとう」

光琉のお母さんはふわっと微笑んだ。

少し、光琉の面影があった。

「いえいえ、私の方こそ、良くしてくれてありがとうございます」