ベランダ越しに花束を


目を開けると、いつもの自室の天井だった。

頬から何かが流れ落ちた。

手を当ててみると、濡れていた。

「何泣いてんだろ」

ついに今日が来てしまった。

起き上がろうとしたとき、身体中重りをつけられてるような感覚がした。

リビングに出ると、テレビにはニュースが映って、お母さんが慌ただしく仕事の準備をする、いつもと変わらない光景だった。

でも、何かが違った。

何となく、いつもとは違う感じがした。

お母さんが「行ってきまーす」と言うと同時にドアがバタンと大きな音をたてて閉まる。

「行ってらっしゃい」