ベランダ越しに花束を

口に入れた途端、広がる温かく優しい味。

初めて光琉と会った時と変わらない味だ。

「美味しい」

「うん、美味い」

ふふっと笑い合う。

2人の周りに、ほわほわと温かいものがぱっと咲いたみたいだった。

これが、ずっと続けばいいのに。

ずっと時間が止まればいいのに。

どうしても、そう思ってしまう。

続かないのに。

続くわけないのに。

そんな無駄な望みに期待してしまう。

「…舞花?」

「えっ」

光琉の声で我に返った。

光琉は心配げな顔で、私の顔を覗いていた。

前髪の間から覗く、花みたいな鮮やかな色がちらちらと輝く瞳。

ひらひらと舞うまつ毛。

ふわふわと踊る柔らかい髪。

全てが繊細に見えた。

この姿も、もうすぐ見られなくなる。