ベランダ越しに花束を

気になったけど、わざわざ話を突っ込んでもダメかなと思い、聞かないでおいた。

「じゃあ、私そろそろ部屋戻んないと、お母さん帰ってくる」

「そうだよな、ごめん、話長くなって」

「ううん、話してくれてありがとう」

私たちは手を振り合い、部屋に戻った。

その途端、どばっと涙が滝のように流れ出た。

お母さんが帰ってくるのは、嘘だ。

部屋に戻った本当の理由は、涙が溢れてしまうからだ。

もうこれ以上、光琉に心配なんてかけられない。

だって、もうすぐ彼はこの世を去るのだから。

そう思うと、益々悲しくなってきた。

どうして彼のような優しい人がこの世を去らないといけないのか。

なぜ神様はこの人を奪うのか。

神様は正しいとか言うけど、こういう時だけは信じられない。