ベランダ越しに花束を


そして、私は「あっ」と光琉の顔を指さして言った。

「光琉の口、ひげできてる」

「え、まじ?」

光琉は慌てて部屋からティッシュペーパーを取り出してきて口を拭った。

「とれた?」

光琉が私の顔を覗きながら聞く。

私は頷きながら

「うん、とれてるよ」

と笑いながら言い、空を見上げた。

淡い薄青の空に、平たい筆で描いたような微かな雲。
鳥が鳴きながら、空を泳ぐ。
朝の肌寒い風。

世界は、こんなにも綺麗だったのか、と今更ながら実感した。

アイツらが、この綺麗な世界を汚しているだけなのかもしれない。
なら、なおさら許せない。