ベランダ越しに花束を

俺はそれから、死を待つ、という恐怖と闘っていた。

気分転換にどこかに行こうと思う訳もなく、ずっと家に篭っていた。

きっと皆がこういう状況に陥ったとき、誰もが死ぬ前に行きたいところやしたいことをするだろう。

でも、俺はそんなことしたくなかった。

だって、本当に死ぬみたいじゃないか。

できるだけ、いつも通りの毎日を過ごしたかった。

だから、共働きの親にもいつも通り仕事に行ってもらうことにした。

毎朝「行ってきます」という親の声を聞く度、時間が過ぎていることを感じる。

家ではテレビを見たり、花を観察したりしていた。