ベランダ越しに花束を

母さんが目に涙を浮かべながら言う。

俺も少し前かがみになって、医者の返答を待つ。

医者は、キリッと俺を見て、口をゆっくりと動かした。

「残念ながら、出来ません」

医者はキッパリと言った。

脳がん?ステージ4?

まさか、この俺に起こるなんて思ってもみなかった。

医者と親は色々なことを話していた。

だけど俺は、そんなこと一切耳に入ってこず、ただぼーっとしていた。

でも、一つだけ耳に、スっと入ってきた。

1番聞こえたくない言葉が。