ベランダ越しに花束を

「…」

私は慎重にドアを開けて、家に入った。

すると、リビングからドカドカとお母さんの足音が聞こえてきた。

そして、私をギュッと苦しいくらいに抱きしめた。

「お母さん、ごめんなさい」

私はすぐさま謝る。

お母さんの顔を人目見て分かった。

泣いていたのだ。

目は赤く、頬に泣いた跡がある。

「どこ行ってたの…」

お母さんは、嗚咽を漏らしながら言った。

お母さんの涙で肩が濡れる。

私もお母さんの背中に手を回して、もう一度「ごめんなさい」と言った。

お母さんは抱きしめた後、肩を掴んで言った。

「生きているのだから、何も望まないわ」

お母さんはニコッと微笑んだ。

私も微笑み返した。

「今、ご飯作るからね」