リストランテ

たいせいが怒っていたのはジビエで働いていた事ではない。


たいせいが怒っていたのはローンがチーボにきてからの一年間自分の前で料理をしたがらなかったことだ。

一度はローンもリストランテ百選を目指しこの料理の道に入ったはずだ。


それなのに一年もの間料理も作らず自分の下にいたのだから。


『ローン…。お前何か作ってみろ』


たいせいは素直にローンの料理がどんなものなのか食べてみたかったのだ。

『……。わかりました。』

ローンは何かを決意したように椅子から立ち上がり料理を作りはじめた


『たいせいさん、このグリーンカッツァ使っても?』

『厨房にある食材すべて使っていいからお前が作る最高な物を作ってみせろ!』

たいせいは実際はとても楽しみだった。


ローンがどんなおいしい物を食べさせてくれるか。


たいせいは何よりもうまい物を食べる事、お客様に提供することに命をかけているのだから


それからどれ位時間がたったろうか。たいせいが先程のローンの言葉を考えながら黄色ぶどうのワインを一本開けた頃、