眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛

「すごい、まるでどこかのお姫様みたいね!綺麗だわ。こんな素敵な女性、どうやって手に入れたのよ。そもそも、あなた結婚する気なんてないって言ってたじゃない」
「それは……」

 ヴェルデが言いよどむと、ノエルは口角を上げてヴェルデの腕を掴んだ。

「ちょっ、なんだよ」
「久々に会えたんだし、二人で色々と話をしましょうよ。私とあなたの仲じゃない。ごめんなさい、ちょっとだけお借りするわね」
「え、あ、はい……」

 ノエルはヴェルデの腕を掴み、人があまりいない広場の隅の方へ歩いていく。茫然としてみていると、隣にフェインがやってきた。

「悪いな、ノエルは悪い奴じゃないんだけど、思い切りがいいというか行動的というか」
「いえ。ヴェルデ様とノエル様は仲がよろしいんですね。昔からのお知り合いなのですか?」
「あー、うん、そうだな。ノエルは魔法省の人間なんだけど、一度国からの依頼で魔法省と一緒に長期で研究することがあったんだ」

 ノエルも魔法省の中ではかなりの実力者で、ヴェルデと研究の話で意気投合したらしい。