「ああ…」 そう言って誠くんは、少し辛そうな表情をしたように見えた。 「…じゃ、帰るから」 歩き出した誠くんを追って、あたしも歩きだす。 あたしは理恵さんの顔を見る事が出来なかった。 …………。 沈黙。 時々、誠くんの横顔を見ながら歩く。 その顔は、いつもの優しい顔とは違って、複雑で。 あたしの知らない誠くん。 不安はどんどん増してきて。 少し縮んだ気がした距離は、あっけなく離れてしまったように思えた。 怖いよ。 怖い…………