「今日は顧問の先生が予定あるみたいで部活が急遽、休みになったんだ。普段の今頃は体育館で部活してるから…、あ、俺バレー部なんだけど。だから、こんな早い時間に変えれるなんて、なんかちょっと得した気分」
「お、へえーそうなんだね…!」
なるほど、だから月曜日なのに、帰りが早いのか。と納得した。
清澤君が、どの部活で、何曜日に活動しているかなんて、もちろん知っている。
バレーボール部で、木曜日と日曜日が休み。顧問の先生は、さっき歴史の授業をしてくれた村田先生。
だけど、こんなことを知っていると知られたら、清澤君のことを好きだということがバレてしまうかもと怖くなって、咄嗟に知らないフリをしてしまった。
「先生、予定ってなんだったの?」
「それが分かんないだよなぁー」
「そ、そっか…」
触れそうで触れない肩。
まるでカーテンのような強い雨のせいで、私たち2人だけの世界になってしまったのではないかと勘違いしそうになる。
「いつもこの時間に1人で帰ってるの?」
清澤君がチラッと私の方を見て言った。
至近距離で目が合ったその瞬間、心臓が跳ね上がる。
頬が、カーっと紅潮するのが自分でも分かった。


