私の口から小さく漏れ出た声。
だって、驚くことに、本当に清澤君が傘をささずに、私に向かって一直線に駆け寄ってきていたのだ。
なんで、清澤君が…?
驚きでポカンと口を開けながら、ただただ走ってくる彼を見つめる。
「傘忘れちゃって…、甘崎、電車通学だったよな?悪いんだけど、駅まで入れてくれない?」
そう言いながら私の傘に入ってくる。
いきなりの近さに、心臓が一気に跳ね上がる。
え?え?
何が起きた?
なんで……え?
あまりの急展開に思考が追い付かない。
あたふたしながらも、何か言わなきゃと思い、必死に言葉を探す。
「あ、うん、そう、電車…だから…うん。いいよ…」
緊張しすぎて、少し素っ気ない言い方になってしまった。
あー、私のばか!
これじゃあ嫌がってるみたいじゃん…!
でも、そんな私の心配をよそに、清澤君はあっけらかんとしてこう言った。


