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降るとは思っていなかったけど、一応折り畳み傘を持ってきておいて良かった。
そう思いながら傘を広げ、1人で駅に向かって歩き出す。
いつもタイミングが合えば駅まで一緒に帰っている子たちに「今日は用事があって急ぐから」と言って、先に学校を出てきた。
別に用事なんてないのだけれど…
なんとなく、1人がよかった。
バチ、バチ、バチ、バチ、バチ…
少し痛いくらいの勢いで、大粒の雨が傘に打ち付けられている。
聞こえてくる音のほぼすべてが雨の音、という中で、
「――!!」
…なにか人の声のようなものが聞こえた。
周りにいる誰かの話し声かな。
そう思って特に気に留めなかった。
…だけど、
「――!!!」
さっきよりも大きく、そして近くなったその声を聞いて、思わず足が止まった。
何を言ったかは分からなかったけど、
気のせいかもしれないけど、
だけど……
……清澤君の声に聞こえた気がした
いや、仮に清澤君だったとしても、私に話しかけてる訳ない。
ぜったいに違う。
……
…だけど、もし私に話しかけてくれてたら。
そんな少しの期待が胸に浮かびあがってしまい、足が止まった。
…そんなこと起こるわけない。
そう思いつつも、ゆっくりと声がした方を振り返る。
「えっ…」


