金平糖の白いまほう




 ☆・☆・☆

 

 降るとは思っていなかったけど、一応折り畳み傘を持ってきておいて良かった。


 そう思いながら傘を広げ、1人で駅に向かって歩き出す。


 いつもタイミングが合えば駅まで一緒に帰っている子たちに「今日は用事があって急ぐから」と言って、先に学校を出てきた。



 別に用事なんてないのだけれど…



 なんとなく、1人がよかった。




 バチ、バチ、バチ、バチ、バチ…



 少し痛いくらいの勢いで、大粒の雨が傘に打ち付けられている。



 聞こえてくる音のほぼすべてが雨の音、という中で、



 「――!!」



 …なにか人の声のようなものが聞こえた。



 周りにいる誰かの話し声かな。



 そう思って特に気に留めなかった。




 …だけど、




 「――!!!」



 さっきよりも大きく、そして近くなったその声を聞いて、思わず足が止まった。




 何を言ったかは分からなかったけど、



 気のせいかもしれないけど、



 だけど……



 ……清澤君の声に聞こえた気がした



 いや、仮に清澤君だったとしても、私に話しかけてる訳ない。



 ぜったいに違う。


 ……


 …だけど、もし私に話しかけてくれてたら。



 そんな少しの期待が胸に浮かびあがってしまい、足が止まった。



 …そんなこと起こるわけない。



 そう思いつつも、ゆっくりと声がした方を振り返る。



 「えっ…」