キーンコーンカーンコーン
無情にも、授業の始まりを知らせるチャイムが鳴り響いた。
「あ、チャイム鳴った。じゃな、甘崎、金平糖ありがとう!」
「あ、う、うん…」
なけなしの勇気が、しゅるしゅると小さな音を立てて消えていく。
私の席から去っていく清澤君の背中を見送りながら、こっそりとちいさく息を吐いた。
緊張と勇気の両方がほどけていく感覚だった。
…ま、所詮おまじないだもんね……
……
……うん
私の前の席に、本来そこに座るべき席の持ち主が座る。
その背中を見ながら、またちいさく息を吐く。
「はい、授業始めるよー、教科書出してね」
眼鏡にスキンヘッドの村田先生が、おおきな声で歴史の授業を始める。
村田先生の授業は楽しいから、いつもはけっこーちゃんと聞くんだけど、今日はなんだか集中できなくて、すぐ横にある窓から外ばかりを眺めていた。
ポツ…ポツ…
授業が折り返し地点まで来たあたりでポツポツと雨が降りだした。
雨の勢いは徐々に増していき、授業が終わるころには薄暗い空を背にしたザーザー降りの雨になっていた。


