金平糖の白いまほう

 

 ガタガタガタッ。

  

 前の席の椅子を引く音がして、誰かが座った。



 「おお!なに?この白いの!」


 
 前の席に座ったその人を見て、思わず椅子から転げ落ちるかと思った。



 だって、目の前にいたのは、他でもない。



 教室の中で、金平糖を置きながらずっと目で追っていた清澤君だったのだ。



 突然の出来事に頭が追いつかず、何か言わなきゃと思うも、言葉が出ない。



 ずっと黙っている私を不思議に思ったのか、清澤君が金平糖から私に視線を移した。



 「甘崎(あまさき)?」



 目が合った瞬間の心臓の揺れにつられて、なんとか口が動き出す。



 「こ、金平糖だって。友達からもらったの」


 「へー!金平糖か!白いのだけって珍しいな」


 さっきからずっと心臓がバクバクしている。


 君と話すと、いつもそう。
 

 話せたことが嬉しくて、でもとっても恥ずかしくて、それじゃダメだと分かっててもすぐに会話を終わらせてしまう。逃げてしまう。



 ……だけど。



 今日は白い金平糖がある。


 それだけのことで、少しだけ頑張れる気がした。



 「よかったら…、この金平糖食べない?」