「う、うん。大体そうかな。友達と帰ったり、1人で帰ったり、まちまちだよ」
つい早口になってしまった。
「へえー…」
清澤君が前に向き直って、ボソッと言った。
「…俺、木曜は部活ないんだけど…」
うん。知ってます。……なんて言えないけど。
今まで真っすぐ前を向いて歩いていた清澤君が、俯きがちになってこう言った。
「だから…その…、駅まで一緒に帰ったりする…?」
……
……え?
ええええ?
ええええええ!?
あまりの衝撃展開に頭が追い付かない。
え?…え?
私いま……一緒に帰ろうって言われた…!?
清澤君と一緒に帰るなんて、そんなこと程遠すぎて妄想すらしたことなかった。
できなかった。
…だけど、現実に起きた。
…すごい…
え、夢じゃないよね…?
……うん、夢じゃない。だって、雨の匂いがこんなにするんだもん。
…夢じゃ…ない。
驚きで混乱していた頭が、徐々に言葉の意味を理解し出した途端に、嬉しさが込み上げてきた。
「…うん」
それしか言えず、私も俯いた。


