「お母さん!お母さん!」


「何よ大声出して。


綾香、帰ったらただいまでしょ」


「ミーちゃん!ミーちゃん!」


「はい?」


「ミーちゃんがいたの!」


「ミーちゃんて、あなたが昔

拾ってきた子猫の?」


「そう!そう!


そのミーちゃんがいたの!


もう子猫じゃないけど!」



「何処にいたのよ」


「駅の近くだよ!」


「まさか。暗いから

見間違えたんじゃない?」


「いや、あれは確かに

ミーちゃんだった!」


「ふーん」


「ふーんて…」


「あの時は大変だったわ。


行方不明になっちゃうんだもの」


「ごめんなさい…」


「明るい時にまた探してみたら?


とりあえず手洗って、

ご飯にするわよ」


「うん…」





小学校四年生の時、


私はミーちゃんと出会った。



「あやかちゃん、

テスト何点だった?」


「私は95点だよ。ゆりちゃんは?」


「私は80点。あやかちよんは

頭良くていいよねー」


「そんな事ないよ」



テストの話しをしていると、

ゆりちゃんが遠くを指差した。



「ゆりちゃんどうしたの?」


「あれ、猫ちゃん?」


私はゆりちゃんが指差す方を見た。


小さい段ボールが道路の端に

置いてある。


「段ボール?」


「うん。その中に」


私は小走りで段ボールに近付いた。