さようなら

「あ、紗英…」


「お母さん…」


私は少しだけホッとした。


「良く眠れたわ」


「そう… 具合はどう?」

良いわけがないけれど、

私は聞いた。


「さっきよりは全然いいわ」


「良かった」


「紗英は家に帰る?」


「ううん。今日はこのまま

泊まることにしたよ。


一応、自分の着替えも

持ってきたから。


「うん」


母は嬉しそうにな表情を見せた。


笑っているけれど、本当は

笑うのも大変だと思う。


「ご飯はどうする?」


「後でコンビニで買ってくるから

大丈夫だよ」


「うん」


母はこんな時も私の心配をする。


こんな時にいいのに…


その優しさが胸を刺す。





少し経ってから、母はまた眠った。


私は病院の近くにある

コンビニに行った。


何を食べようか悩む…


正直、こんな時に食欲など出ない。


でも、私がやつれると、

母が心配するので、

無理にでも食べないといけない。



「あ!」


突然となりから声が聞こえた。


私は驚いて振り向いた。


「あ!」


私も思わず声を出してしまった。


そこに居たのは達也さんだった。




「た、達也さん…」


「あ、ああ… この前来てくれた…」


「はい…」


「偶然だね…」


「はい… 達也さんは

どうしてここに?」


「この前、君のお母さんに

言われから、色々考えてね…


あのさ、時間… あるかな?」


「は、はい…」




達也さんと私は隣りにある

ファミレスに入った。


達也さんと会うのが、

何故かすごく恥ずかしかった。





「注文しようか…


朝から何も食べてなくて、

お腹ペコペコで…


桜井さんは何か食べますか?」


「あ、はい…」



私たちは料理を注文した。