「もしはぐれたら困るし、手繫いでいいか?」
「え?」
思わず訊き返す。
私の聞き間違えじゃなかったら神レベルの提案をされてるんだけど……。
「はぐれたら困るから手を繫いでいいか?」
「もちろん!」
良かった。聞き間違いなんかじゃなかった。
そして彼の差し出す手を握る。
ここ最近したかったこと。手を繋ぐ事。ついに出来た。
なんだか暖かくて、しっかりと大翔君のぬくもりを感じる。
ああ、今大翔君の手を繫いでいるんだ。
そう思うと幸せで、もう言葉では形容出来ないくらいだ。
そして、私が悶えていると、大翔君が困ったように私を見てくる。
私の足はいつの間にか止まっていた。歩くことをやめていた。
いっけない。私はすぐに「行こ」と言って歩き出す。



