「あの、及川くん…」 その先にいる人物の名前を聞いて、ドキッとした。 加速する心臓をなんとか落ち着けようと、私は必死だ。 「私、及川くんが好きなの!お試しでもいいから、私と付き合ってください!」 緊張で、少し震えた女の子の声。 どこかで聞いたことのあるその声に、私はその女子を思い出す。 学年でマドンナ的存在の、相川さんだ。 及川くんに劣らず、その可愛さと聡明さを兼ね備えた彼女も、学年の枠を超えて、人気がある。