君が嘘に消えてしまう前に



音を立てないようにドアを閉めて、そのまま壁に背中を預けてズルズルとその場にへたり込む。
全身の力が抜けて、もうしばらく立ち上がれそうにない。
もう嫌だ、しんどい、苦しい。
でも、どうしていいか分からない。

頑張るからって、何を?
私はもう十分頑張ってる。なのにまだ頑張るの?

一体何を?何のために?

思考がぐるぐると回って胃の辺りがズンと重くなった。

時々、何のために勉強しているのか分からなくなる。
将来のため、と大人は言うけれど、その将来には今を犠牲にするような価値があるんだろうか。

見えない将来のために走り続けるなんて、しんどくてしんどくてたまらない。

みんなこうなの?
それとも皆んな目標があるの?
将来がある程度見えてるの?

…夢を持ってない私が悪いの?
小学生の頃はキラキラした夢を持っていたはずなのに、中学生になる頃にはもう見失ってしまった。
いつか見つかるって思って放置した結果が、今だ。


…大丈夫。私はまだ大丈夫、まだやれる。


「…大丈夫」

もう一度だけそう唱えてから、机に向かう。
いつのまにか極端に殺風景になった私の机が、いつものように私を待ち構えている。

のろのろと数学の問題集を開いたけれど、驚くほど進まない。ちゃんと頭が回ってないからか、解けない上に頻繁に計算ミスしてしまう。

でも、やらなきゃ。
やらなきゃ、勉強しなきゃ、いい成績を取らなきゃ。じゃなきゃお母さんに認めてもらえない、私のことを見てもらえない。

だって私にはここしか居場所がないのだ。
いくら居心地が悪くたって、期待されていなくたって、ここが私の家なんだから。

この他に帰るところも逃げるところもないし、頼れる人もいないんだから…


自分のことは自分で何とかするしかない。