過去夢の少女

☆☆☆

どれだけ時間が経過しただろうか?
恵がいなくなってから日が落ちて、何時間?

腕に傷は思いの外深くて動けばまた血が流れ出す。
だから動くこともできずに私は山の中に倒れ込んでいた。

時折聞こえてくるのは鳥の鳴き声と獣の咆哮ばかり。
血の臭いを嗅ぎつけた獣たちがいつ襲ってくるかわからない。

こんな状況なのに、山の中ではスマホの電波が通じなかった。
やくたたずの機械をつつくのはとっくに諦めて、投げ捨てていた。

近くには河村結夏の死体が転がっていて、腐臭が漂い始めている。
ああはなりたくない。
私はまだ生きている。

その気持でどうにかはいずって前進するけれど、いくらも進まない内に傷口から血が溢れ出して動きが止まってしまう。

そうやって少し動いては長時間休憩を繰り返しているうちに、地面に違和感を覚えた。
そこだけふわふわしていて、まるで新雪を踏んでいるような感触なのだ。