過去夢の少女

痛いよりも熱い。
熱いよりも強い衝撃に驚いた。
「あ……め、恵……」

突き刺さったままの包丁に全身が震えた。
これを引き抜かれると大量に血が出る。

ひとりでこの山を降りることは困難になるはずだ。
恵が笑いながら包丁の柄を握りしめた。

「いや……やめて……」
ボロボロと涙がこぼれて視界が歪んだ。

恵の顔も歪んで見えて、笑っているのか泣いているのか、怒っているのかもわからない。

「私には友達なんていない」
恵はひとこと言うと私の腕から包丁を引き抜いたのだった……。