過去夢の少女

嬉しそうに少女のほうに微笑むお母さん。
一瞬の幻影で手元が狂った。

包丁は河村結夏の横の岩にぶつかり、ガキンッと大きな音を立てて刃こぼれした。

「なにしてんの!」
恵が顔を真赤にして激高している。
わかってる。

こいつを仕留めるために、ここまで来たんだから!

もう1度包丁を振り上げたとき、河村結夏が立ち上がってよろけながら走り出していた。

「あっ」
と思った矢先に恵が私の手から包丁を奪い取り、間髪入れずに河村結夏を追いかけた。

「あんたなんかに任せてられない!」
そう言って鬼の形相で河村結夏を追いかける。

足元が悪いせいか、恐怖心のせいか、河村結夏は何度も転んで泥だらけになった。
恵はあっという間に追いついて河村結夏の体に馬乗りになった。

そして両手で包丁を握りしめて振り上げる。