過去夢の少女

私はそれを受け取り、両手できつく握りしめる。
夢の中でお母さんがしていたのと同じだ。
「お、お父さんはどこ?」

「知らない。だけどこの山の中のどこかにいる。昨日夢で見たの。私のお母さんが、あんたのお父さんを殺して山に埋める所を」

私が一歩近づくと、河村結夏は一歩下がる。
だけどここは山の中で木の根があちこちに伸びている。
河村結夏はすぐに足を取られて転んでしまった。

その真後ろには恵がいて、ニヤついた笑みを浮かべて河村結夏を見下ろした。
「あんたも死ねば、お父さんに再開できるよ」
恵に囁かれて河村結夏の目から涙が溢れ出した。

死を目前にして恐怖で引きつった顔をしている。
その目は私を見つめていた。

「やめて……許して!」
叫ぶ河村結夏めがけて包丁を振り下ろした。
その瞬間、脳裏にお母さんの笑顔が浮かんできた。