過去夢の少女

この女の服を着るなんて想像しただけで鳥肌が立つけれど、背に腹は代えられない。

自分たちの身を守るためだ。
河村結夏の服はどれもサイズが大きくて、私と恵にはブカブカだった。

それからいくつかのバスを乗りついで私達は登山口へとやってきていた。
そこはやはり夢に見たのと同じ場所で、バスを乗り継いで3時間もかかった。

お母さんは真夜中にこんな場所までひとりでやってきたのだ。
それほど河村浩司への憎しみが強かったということだろう。

そして、すべてをやり遂げた後のお母さんの素敵な笑顔!
思い出すだけでこちらまでうっとりしてきてしまう。

私もすべてをやり遂げた後に、あんな素敵な笑顔を浮かべることができるだろうか?
「どこへ行くの?」

登山口の入り口で河村結夏がそう質問してきたので、私は「あんたの父親がいる場所」と答えた。
恵は河村結夏の背中に包丁を突きつけて付いてきてくれている。

「お父さんの居場所を知ってるの!?」
河村結夏からしても予想外の言葉だったようで、目を見開いている。

「知ってるよ。今からそこに行く。歩きながら教えてあげるよ。私がどうしてあんたの家を知ってたのかを……」