過去夢の少女

強引に玄関ドアを開くと、河村結夏が咄嗟に部屋の奥へと逃げていった。
私と恵は靴も脱がずに家に上がり込み、追いかけた。

河村結夏が逃げた先はリビングだった。
河村結夏の後ろには大きな窓があるから、逃げ出すこともできる。

「ど、どうして家を知ってるの?」
震える声で質問されて、私は「友達だからだよ」と、とぼけておいた。

河村結夏はそれ以上質問せず、青ざめた顔を恵へ向けた。

恵は大切に抱きかかえていたカバンの中から真新しい包丁を取り出して河村結香に切っ先を向けていたのだ。

蛍光灯の光でギラギラと輝く先端は、昨日夢で見たものとほとんど変わらなかった。
「これから私たちと遊びに行こうよ? 断ったらどうなるか、わかるよね?」

すっかり萎縮してしまった河村結夏は窓を開けて逃げることもできずに立ちすくむ。
恵が脅しながらその頬に包丁の側面を押し付けても反応しなかった。

「どうしてこの家がわかったのか、最後には教えてあげるから」
私がそう言うと、河村結夏は真っ青な顔で棒立ちになったまま、失禁してしまったのだった。