新学期が始まり、まだまだ残暑厳しい日が続いていた。

あれからやっちゃんが、どう話してくれたのかは分からないが、
凛が保健室に来て、

「会いたかった…」

と微笑んでくれた。
その表情で、声で、まだ想っていてくれていることが伝わってきて、
ただ嬉しかった…
でも、お互い以前のままで要られるはずもなく、
健に対して微かな怯えがあることを感じていた。

ちょこちょこ保健室に来て話したりはするが、
どこと無くぎこちなく、以前のように、少しでも長く一緒にいたい、とか
部屋に来たい、とか言わなくなっていた。
簡単に言えない言葉になってしまったのだろう…

そんな時やって来たアイツは、二人の間に出来てしまった僅かな隙間にスルリと入り込んで来た。