『今晩は、姫宮です。
凛の携帯を借りてメールしています。
凛が、先生の所に押しかけると聞かず、帰って来たと思ったらずぶ濡れで、しかも泣きながら…
服の乱れを見て直ぐに、検討はつきました。

何とか落ち着いて話せるようになり、話しを聞いてメールしました。

こちらは任せて下さい。
そして少し時間を下さい。

それでは失礼します。

姫宮弥恵』

少しホッとしたような、でも本人からではない事が悲しいような…
初めての感情ばかりで、それに振り回されて

「しんどいな。」
思わず口をついて出た言葉だった。
そのまま床に大の字になり、大きな溜め息をついた。
目を閉じるとさっきの凛の泣く姿が蘇り、
ガバッと上半身を起こして、項垂れることしか出来なかった。
頭の中は、凛の事で一杯だった。

凛は、どうしているだろうか?
嫌われてしまったかな…
何をどう考えても、今は待つしかない。

眠れない夜を過ごし、週が明け、ほろ苦い思いのまま夏休みは終わり、
新学期が始まった。