学校から健の家は、歩いて十分程度の所だったが、夕飯の買い物をするため車に乗っていた。

買い物を済ませ、二人は健の部屋へと向かっていた。

買う品物は凛が決めた。祖父母に育てられ、幼い頃から良く手伝いをしていて、意外にも…
と本人に言ったら拗ねられたが、炊事全般得意だそうだ。

健の部屋は、オートロックの十階建マンションの三階、一番奥の突き当たり。
ドアの鍵を開け、後ろにいた凛に「どうぞ」と促し、自分も中に入る。

凛は、靴を脱ぎながら、小声で

「お邪魔しま~す。」

と言って部屋へ入って行った。