道路沿いのイタリアンのお店に入り、美味しい料理とデザートを食べ、
健はコーヒーを、凛はカフェラテを飲みながら他愛ない話しをして、楽しい時間を過ごした。

寮の門限は十時で、
それまでにはまだ時間があったが、寮の近くに車を止め

「今日は遠出したし疲れただろ、また明日から講習たがら、ゆっくり休め。」

健が優しい口調で言うと

「もう少し一緒にいたいな…」

少し淋しそうに瞳を下に向けて言った。

胸がキュンと音をたて体が熱くなるのを感じながら

「学校でも会えるだろ?」

少し覗き込むように言うと、クリッとしたブルーグレーの瞳をこちらに向け

「う…ん、でも、なかなか二人だけでゆっくり出来ないし…」

口をちょっと尖らせて拗ねたような口調の凛、
健は慌てて視線を逸らし
ハンドルにもたれ掛かりながら、右手で髪を掻き上げ

今の顔はヤバイ…
分かってないよな~
天然だけにタチが悪い。
俺が今、どんだけ理性を保つのに必死か…

ハァ~、と思わず溜め息が漏れる。

その時突然「そうだ!」
何かを思い付いたように凛が声を張って言った。