矢萩は照れながらも、嬉しそうにその出された右手を両手で、しっかりと掴み

「はい。宜しくお願いします。」

ニッコリと微笑んだ。
顔を上げ、その笑顔を見た健は、胸の鼓動の速さが頂点に達し今にも破裂しそうなほどだった。

「抱きしめていいかな…」

握ったままの手に力を込めて言った健の瞳は、傾きかけた陽射しを受け艶やかさをより一層増して
矢萩は、それに吸い込まれるように頷き、
自分から歩み寄って行った。