健は、汗ばむ額を拭いながら屋上に向かって走っていた。

俺って今頃青春しちゃってない?
階段を駆け上がりながら思っていると、
屋上の扉にたどり着いた。

一呼吸して扉を開けると、両腕を手摺りに置いてその上に頭を乗せている
矢萩の後ろ姿が目に入ってきた。

ゆっくり近付きながら

「矢萩…」

声を掛けると、体をビクリと起こし、言葉なく顔をこちらに向けた。