それから面倒なことが…
何だかやたら女子生徒が、保健室に来るようになったのだ。
今までは、必要以上に人が来たことなんて無かったのに…


茶髪をクルクル巻いて、風が起きそうな睫毛をバサバサ動かしながら
似た様なのが、二、三人でキャッキャと騒いでいる。

昔ならいざ知らず、今は蜜蜂がブンブン飛び回っている光景が浮かんできて、妙に笑える…

しかし少しウザイな
それに長居されると困る

矢萩は庭から中を覗き、人がいるのが見えると、絶対に入って来ないからだ。

「お前らもう講習始まるぞ、早く教室行け。」

机に向かい書類を書き、忙しい素振りをしながら健が言うと、

蜜蜂たちは口々に
「えー、もう?」
「つまんなーい」
その中の一人が

「後二日でお盆休みだよ、講習もないからどっか連れてって~」
腕に纏わり付いてきた。

健は溜め息混じりに

「あのなー、何で俺が連れて行かないといけないわけ?
そんなこと言ってないで早く行け!」

纏わり付く腕を払いながら、さっきより少し強い口調で言うと、また口々に

「いや~、怖い~。」
「キャー逃げろー!」

あっという間に消えて行った…
全然話聞いてないし、
立ち去るの早え~