健が二度目の溜め息をついたとき、窓からタクがヒョコッと顔を出し、

「なに~溜め息なんかついちゃって…」

ニヤニヤしながら話し掛けてきた。

健は一瞬ビクッとしたがチラッとタクに視線を向けると、

「あれ?一人か?」

此処に来るときは、洸とひまわりと一緒が常のため、口をついて出た。

するとタクは、少し拗ねた様に口を尖らせながら

「いつもオマケでくっついている訳じゃないし、
それにアイツら今忙しいから遊んでくんないんだもん」

大学はもう夏休みに入っており、洸とひまわりは夏休み中は、親元で将来のための勉強に励んでいる。

どうやらタクは淋しくて此処に来たらしい。
思わずフッと笑みが零れ

「コーヒー入れてやるから中入って来い。」

タクは嬉しそうに
「は~い」と言うと、
庭の入口から入って来た。