そしてチラッと矢萩の方を見て驚いた。

顔を真っ赤にして瞬きを盛んにし、瞳はオロオロと口は何かを呟く様に小さく動いていた。
健の言葉に、明らかに動揺していたから。

そして急に立ち上がると、
「じゃっ、じゃあ…ま、また来ます!」

変に上ずった声で言ってドタバタと走って保健室を後にした。

静まり返った保健室で健は、呆気に取られていたが、矢萩のあの顔を思い出し、

「ヤバイ…」

ボソッと一言。
そう言った健の口元は緩んでいた。