日増しに強くなる陽射しを受けて植物達が、ぐんぐん成長する季節になっていた。

矢萩は、心地の良い、リラックス出来る唯一の居場所だと言って、相変わらず木陰に来て本を読んでいたが、

保健室にもよく顔を出して、初めて女友達が出来た。とか、遊んだとか、男子に話し掛けられたとか、周りにいる人達の接し方の変化に戸惑いながらも、世界が広がったと、嬉しそうに話してくれた。

その度に健は、「お前自身が変わったからだよ。」と言って、微笑みながら、矢萩の頭をポンポンと撫でた。

事実、気持ちが変わったことで、表情がパッと明るくなった矢萩は、元々目鼻立ちが整っていて、少し異国の雰囲気が漂う綺麗な容姿がより際立つようになった。