あれから季節は流れ、
もうすぐ凛と出会った、
桜が咲き誇る暖かな美しい季節が、またやって来る。


そして凛達は、大きな体育館で、卒業式を迎えていた。
健にとっても保健医最後の日、感慨深く式に臨んでいた。

式も終盤になると、定番の音楽と共に、何処からともなく啜り泣く声が聞こえてきて、健の視界には、目を真っ赤にしている凛の姿が見えていた。

そして、仕事で来られないと言っていた那智さんの姿も見えた。

父親のアンタリアは、どうしても来ることが出来ず、電話で凛に只管謝っていたらしいが、本人が一番落ち込んでいたようだと聞いた。


式が終わり、那智さんに声を掛けると、泣き顔を見られるのは恥ずかしいから凛に『おめでとう』を伝えてと、そして小包を渡して欲しいと手渡して帰って行った。